福島地方裁判所会津若松支部 昭和40年(む)126号 判決 1965年7月19日
被疑者 湯田哲
決 定
(申立人 氏名略)
右の者に対する公職選挙法違反被疑事件につき、福島地方検察庁会津若松支部検察官検事西村好順がなした刑事訴訟法第三九条第三項但書の処分に対し、弁護人和田敏夫から準抗告の申立があつたので、次のとおり決定する。
主文
昭和四〇年七月一七日福島地方検察庁会津若松支部検察官検事西村好順がなした「弁護人和田敏夫と被疑者湯田哲との接見等の日時および時間を昭和四〇年七月二二日午後一時〇分から同日午後六時〇分までの間の一五分間と指定する」旨の処分を取り消す。
弁護人のその余の申立を棄却する。
理由
本件申立の理由は、末尾添付の「準抗告申立書」記載のとおりであるから、これを引用する。
一件資料によれば、検察官は、被疑者湯田哲に対し、公職選挙法違反の被疑事実により昭和四〇年七月一二日会津若松簡易裁判所に対し勾留請求をし、同簡易裁判所は同日右被疑者を勾留したこと、検察官検事西村好順は、主文掲記のとおり接見等の日時および時間の指定をなしたことが認められる。
右事実によれば、右被疑者の勾留期間は、刑事訴訟法第二〇八条第一項により昭和四〇年七月二一日の経過によつて満了するものであるから、右勾留期間の延長がない現在においては、本件の日時および時間の指定は、なんら効力がないものと解せられるが、右指定処分が存在するため、右勾留期間中の接見が不当に制限されることになるので、右検事の処分の取消を求める弁護人の申立は理由がある。
ただ、弁護人の申立中、「検事西村好順は、ただちに弁護人和田敏夫に対し、被疑者との接見をさせなければならない」との点は、弁護人が即刻、被疑者と接見しうるような指定を裁判所に求める趣旨と解せられるが、本件においては、かかる申立は相当でないからこの部分は棄却する。
よつて、主文のとおり決定する。
(裁判官 土川孝二)
準抗告申立書(略)